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- オーナーのための意思決定できる事業承継, 第3章 自社株対策の具体的方法
- 3-6.種類株式の活用
3-6.種類株式の活用
会社法では、様々な特徴を持った複数の種類の株式を発行す
ることができます。この「種類株式」をうまく活用することで、
事業承継に役立てることができます。
(1) 配当優先・無議決権株式の活用
会社法では、非公開会社において、発行制限なしに配当優先・無議
決権株式を発行できます。このような株式を発行するためには、株主総
会の特別決議(*)により、その内容を定款に定める必要があります。
(*)特別決議・・・議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主
の議決権の2/3 以上により決議されます。
①後継者に議決権を集中させることができます
・後継者である長男は議決権を100%保有し、会社の実権を握るこ
とができます。
・次男は、議決権はない代わりに配当を優先的に受けることができ
るため、不満を抑えられます。
②オーナーの議決権割合を高めることができます
・結果として、オーナーの議決権割合が2/3 を超えることになります。
(注)既存の株式の一部を変更する際には、株主総会の特別決議に
加え、全株主の同意が必要となります。
・後継者の独断専行経営を防止できます。
(2) 黄金株の活用
黄金株とは、株主総会や取締役会の決議事項に対して、一定の拒
否権が認められた種類株式です。
・後継者の独断専行経営を防止できます。
(3) 相続人などに対する売渡請求権の活用
相続や合併などにより、その会社の譲渡制限株式を取得した者に対
し、その株式を、発行会社に売り渡すことを請求する旨を定款で定める
ことができます。
【注意点】
①売渡請求期限
相続等があったことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決
議を経て請求する必要があります。
②売買価格
売買価格は当事者間の協議によりますが、不調の場合には売渡請
求日から20 日以内に限り、裁判所に価格決定の申立てができます。
③財源規制
分配可能額を超える買取はできません。
<株主の分散を防止することができます>
・事業運営上好ましくない者への株式の移転を防止し、経営を安定させ
ることができます。