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- オーナーのための意思決定できる事業承継, 第3章 自社株対策の具体的方法
- 3-5.従業員持株会の活用
3-5.従業員持株会の活用
オーナー所有の株式を従業員持株会に譲渡することで、次の
ような効果が期待できます。
(1) オーナーの所有株式数が減少し、相続財産が減少します
(配当還元価額による移動が可能です)。
(2) 安定株主の確保と社外流出防止となります。
(3) 従業員の福利厚生となります。
(1) オーナーの相続財産の減少
従業員持株会制度とは、福利厚生目的として、従業員が自社株を取得・
保有する制度をいいます。非上場会社が、この制度を導入する大きな理
由として、オーナーの相続対策が挙げられます。
オーナーの所有する株式は、原則的評価方式により高く評価され、相
続税が高額になる可能性があります。そこで、従業員持株会を設立し、
自社株を譲渡すれば、オーナーの持ち株数は減少します。そして、従業
員に自社株を譲渡する際は、配当還元価額による移動が可能であるた
め、従業員持株会に自社株を譲渡することで、オーナーの相続財産は減
少します。
(2) 安定株主の確保と社外流出防止
従業員は、一般的に会社にとって安定株主として期待できることから、
従業員持株会には安定株主の確保というメリットもあります。また、従業
員が退職する場合には従業員持株会規約においてそれを買い取る旨を
規定することができるため、自社株の社外流出を防止できます。
(3) 従業員の福利厚生
従業員持株会は、従業員のモチベーションを上げる効果もあります。
従業員自身の頑張りにより、会社の業績が伸びれば、配当金という形で
自分に見返りがあるためです。従業員持株会にはこのような福利厚生と
しての一面があります。
しかし、その反面、株主が増えることにより会社の経営に支障をきた
すおそれがあります。この対策として、オーナーが従業員持株会に株式
を譲渡する際には、経営に影響がでないように、譲渡する株式を「配
当優先・無議決権株式」などにするとよいでしょう。