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- 「断酒生活」のすすめ, Ⅳ(01~02)
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Y・M氏夫人
Ⅳ(01~02)
Y・M氏夫人
Y・M氏夫人
私の心の中では、いつ発火するかわからない爆弾を抱えている毎日に、断酒前とはちがった緊張感がありました。
この12月、夫は無事7段を迫えることができました。会の皆様の導きがなくては、ここまで続けてはこれなかったと思います。
ありがとうございました、そして何より、身もだえしながら1日1日と断酒を重ねてきた夫に、感謝の気持ちを送りたいと思います。7年前の冬、まず私が断酒会に入りました。夫はそのことを知り激怒しましたが、私はもうこの会しかないと決意していましたので、子供と2人で通いはじめました。
夜例会からもどると夫は、お酒を飲んでコタツで寝ていました。寒さで頬を赤くして立っている息子を見て、夫は何かを感じはじめたのでしょう。しばらくして、やっと一緒に例会に行く約束をしてくれました。でも、帰りに1本飲む、という条件付でした、皆さんが「よく来た、よく来た」と声をかけてくださっても、仏頂面で下を向いて早く終わることだけを考えているようでした。ただその耳には、ほかの方々の苦しい体験談が聞こえていたと思います。
お酒をがんばってやめれば禁断症状が出る、そして飲みたい欲求は化け物のように大きくなって行く、1口飲めば楽になるのに……
この苦しみに勝つため、ほかの方々はどうしてきたのか、これを越えれば光は差すのか。
会の中で学ぶことはたくさんありました。
やがて夫は、自分の苦しみを語りはじめました。夫も元気になりたかったのでしょう。顔を上げ人の話に耳を傾け、自分がなぜこんな飲み方をするようになったのか冷静に見つめるようになりました。私には最初の1年が大変だったと見えるのですが、夫にはそのあとに襲う数々の誘惑と戦うのも、別の苦しみがあったと思います。
私の心の中では、いつ発火するかわからない爆弾を抱えている毎日に、断酒前とは違った緊張感がありました。しかし例会では「そんな心配はしなくてもいい。スリップしたらまた1からはじめればいい」と声をかけられ、気持ちが少し軽くなったことを思い出します。
断酒して1年目に、幸せの証のようにうまれてきた次男は、来年6歳になります。その子には「どうしてお父さんは、よそのお父さんみたいにビール飲まないの」と聞かれています。お酒を飲んでいた頃はすぐに怒り、車を運転していても恐ろしいことがありましたが、今は慎重なドライバーです。
私にとって、7年前のいつも緊張していた頃のことは忘れられないものですが、だからこそ今の生活が心底ありがたく思えるのです。いつまでも、このままで穏やかに年をとってゆきたいと思うこのごろです。