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- 第一章 国際私法(国際相続の相続人の判定)
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長年暮らしている外国人の遺言
A 遺言の方式としては、遺言者の本国法又は日本法の定める方式に従えば有効とな
りますが、遺言能力、遺言できる事項、意思表示の瑕疵等については本国法による
ので、結論としては遺言時の本国法に準拠していることが必要です。
りますが、遺言能力、遺言できる事項、意思表示の瑕疵等については本国法による
ので、結論としては遺言時の本国法に準拠していることが必要です。
解説
1.遺言の保護
(1)遺言の方式については、「遺言の方式の準拠法に関する法律」があり、遺言をできるだけ有効にしようとされています。同法第2条により、方式が①行為地法、②遺言書が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有していた国の法律、③遺
言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法律、④遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法律、⑤不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法、の一に該当するときは、方式に関して有効となります。
(2)本間では、長年日本に暮らしてきたということなので、同法第2条にいう住所・常居所は日本にあり、本国法又は日本法の定める方式に従えば遺言は有効となります。
2.遺言の実質的内容の準拠法
(1)遺言の方式については、前記のとおりですが、その実質的内容の問題(遺言能力、意思表示の瑕疵等)については、法適用通則第36条の適用によるとされており(被相続人の本国法)、それぞれの問題の準拠法によることとなります。
(2)従って、日本に住所がある外国人は行為地法である日本法に従った方式の遺言をすることはできますが、その内容の実現については本国法に抵触しては実現されないことになります。