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- 第一章 国際私法(国際相続の相続人の判定)
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海外資産の遺産分割

Q5 日本人である父は、事業に成功し、日本にも外国にも資産(銀行預金)を残して亡
くなりました。相続人は、日本にいる日本人の子供です。父の遺産分割はどのよう
に行うのでしょうか。
くなりました。相続人は、日本にいる日本人の子供です。父の遺産分割はどのよう
に行うのでしょうか。
A
日本に国際裁判管轄が認められます。
日本に国際裁判管轄が認められます。
解説
1.国際裁判管轄
(1)被相続人が日本人ですから、相続準拠法は法適用通則第36条により日本法
になります。
(2)日本が、①被相続人の本国、②披相続人の最後の住所地、又は③相続財産所
在地であれば、相続事件について日本に国際裁判管轄が認められます。
2.遺産分割手続
(1)本間では、被相続人が日本人であり、相続人も日本人なので、日本の裁判所
に管轄が認められ、日本の家庭裁判所に遺産分割の申し立てをすることができ
ます。
(2)外国にある銀行の預金の払い戻しですが、それが日本の銀行であれば、外国
にある支店に対し、相続関係を証する戸籍謄本類、遺産分割協議書等の提出を
し、払い戻しが受けられます。
ところが、預金口座が英末法系の国の支店にある場合は、問題は複雑となり
ます。その理由は、英末法の系の国では、①遺産承継について日本とは異なり
清算主義を取り、②相続準拠法の決定についても、不動産と動産とを区別する
相続分割主義をとっているからです。そのため、その支店が裁判所による遺産
管理手続を求めてくることがあり、日本の家庭裁判所の遺産分割調停・審判を
承認してくれるかどうか予め確認しておく必要があります。承認してくれない
場合には、銀行支店所在地国で遺産管理手続を申し立てるしかならなくなりま
す。