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- 第一章 国際私法(国際相続の相続人の判定)
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外国籍の父親が借金を残した
Q4 外国籍である父親は長年日本で事業を営んできましたが、最近は事業もうまくい
かず、多額の負債を残して亡くなりました。相続人は、同じく外国籍である母と、
日本で生まれた私たち子供(外国籍)です。 日本法で認められている相続放棄(民法
938条)や限定承認(民法922条)のような手続を、日本の裁判所ですることがで
きるでしょうか。
かず、多額の負債を残して亡くなりました。相続人は、同じく外国籍である母と、
日本で生まれた私たち子供(外国籍)です。 日本法で認められている相続放棄(民法
938条)や限定承認(民法922条)のような手続を、日本の裁判所ですることがで
きるでしょうか。
A
日本の家庭裁判所で手続きすることが認められることがあります。
日本の家庭裁判所で手続きすることが認められることがあります。
解説
1.国際裁判管轄
(1)この問題は、わが国では相続放棄や限定承認の申述を家庭裁判所が受理する
ことから、「国際裁判管轄」の問題として論じられています。これに問する条
約や普遍的な条理はありませんが、結論からいえば、被相続人の最後の住所若
しくは相続人の住所又は遺産若しくは相続債務が日本にあれば、国際裁判管轄
が認められます。
(2)次に準拠法ですが、法適用通則36条により披相続人の本国法になります。
相続人が限定承認及び相続放棄をなし得るかどうか、あるいは、いかなる場合
に承認があったとみなされるかどうか等、相続準拠法によります。
2.事例
(1)本間では、被相続人の本国法で相続放棄や限定承認が認められていれば、日
本の家庭裁判所に管轄が認められます。
(2)韓国で死亡した韓国人の相続につき日本在住の韓国人である相続人がした限
定承認の申述について、遺産の所在地である我が国の家庭裁判所の管轄を認め、
被相続人の本国法たる韓国法を適用して、それを受理した審判例があります(東
京家審昭和52.7.19)。