当社は木造建築工事事業者で、従業員を常時4名雇っています

Q.
 当社は木造建築工事事業者で、従業員を常時4名雇っています。忙しい時期には、かつて当社で働いていたAに対し、当社が請け負った木造建築工事の手伝いを依頼しています。Aは当社を退職してからは一人親方で同業者といえるものの、施主から直接請け負う建築工事は行っておらず、いわゆる常用大工として同業者からの依頼によって役務の提供を行っています。
 当社が施主から請け負った木造建築工事の工期が近づいたため、平成26年10月にAに手伝ってくれるよう依頼を行いました。そして、その報酬として40万円(20日分)を支払い、Aが個人事業主であることから、この40万円を外注費として扱いました。仕訳については、借方を外注費370,370円・仮払消費税等29,630円とし、貸方を現金400,000円としましたが、問題はありませんか?

A.
 賃金とすべきなのか、外注費とすべきなのかについては、判断が容易ではありません。しかし、ご質問のケースでは、請負契約書又はそれに準ずる書類が存在せず、会社の指揮監督の下でAが役務の提供を行っており、材料や用具等が供与されています。これらのこと等を総合勘案し、賃金として扱うのが妥当であると考えられます。仕訳については、借方を賃金400,000円とし、貸方を現金383,490円・預り金16,510円とします。

 Aとの契約が雇用又はこれに準ずるものであるのか、請負であるのかについては、消費税法基本通達1-1-1で「事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する」と定められています。そして、役務の提供の対価が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価か否かが明白でない場合には、例えば次に掲げる自工を総合勘案して判定を行うものとしています。
○その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるか否か。
○役務の提供に当たって事業者の指揮監督を受けるか否か。
○役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているか否か。
○まだ引渡しを終えていない完成品が不可抗力のため滅失した場合等にも、その個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をすることができるか否か。

 そして、雇用又はこれに準ずるものと判定されれば、賃金に当たり消費税の課税対象外取引として扱う必要があります。一方、請負と判定されれば、外注費として処理し、その外注費に係る消費税額は控除対象仕入税額の対象とされます。

 契約が雇用又はこれに準ずるものであるのか、請負であるのかは、判定が困難ですので、それぞれの状況に応じて処理しなければなりません。自社の従業員に対して行う行為と区別するためには、請負契約書又はそれに準ずるような書類を作成する、労災保険料は外注先に負担してもらう、外注先に車を貸し与えない、外注先が用いる携帯電話等の費用を負担しないといったことが重要です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る