当社は建設業を営む法人ですが、今期の業績が良かったこともあり、決算前に、現場で用いる資材、車両の予備タイヤ等の購入をし、消耗品として費用計上しました。未使用の現場消耗品、車両の予備の新品タイヤ、重機用の重油について、期末で未使用であるものの在庫に計上しませんでしたが、問題はありませんか?

Q.
 当社は建設業を営む法人ですが、今期の業績が良かったこともあり、決算前に、現場で用いる資材、車両の予備タイヤ等の購入をし、消耗品として費用計上しました。未使用の現場消耗品、車両の予備の新品タイヤ、重機用の重油について、期末で未使用であるものの在庫に計上しませんでしたが、問題はありませんか?

A.
 建設業においては、特定の工事で用いるため、工事用材料、現場消耗品の購入を行って現場に直接搬入するものの、期末で用いられていない部分は棚卸資産として計上する必要があります。
 ご質問のケースにおいて、未使用の現場消耗品や工事用材料等を支払時の損金として処理したことに問題があります。

 期末で未使用の現場消耗品等については、その年分の損金として処理することはできず、その金額は材料貯蔵品(棚卸資産)として処理しなければなりません。
 例えば、次のような処理を行います。
工事現場用の鉄筋(3,000万円)を購入し、自社のヤードに保管した。…材料貯蔵品/現金3,000万
→鉄筋2,500万円分をA工事の現場に搬入した。…未成工事支出金/材料貯蔵品2,500万
→期末に500万円分の鉄筋が在庫として残った。…決算時の材料貯蔵品500万円
 購入時に在庫貯蔵品を通すことなく直接未成工事原価に集計されるのが一般的でしょうが、完成工事原価や未成工事原価として、直接現場において用いられることなく、期末において在庫として残っている材料貯蔵品は、期末の棚卸資産として計上することになります。

 建設業で期末に棚卸をする必要がある資産は、次のとおりです。
○材料貯蔵品…工事用材料及び機械部品、消耗品、ガソリン等のうち期末において未使用のもの
○未成工事支出金…未成工事の工事原価
○販売用不動産…販売を目的とした不動産原価。不動産の建築費・購入費・開発費等
 ただし、各事業年度ごとに一定数量の購入を行い、かつ、経常的に消費するものは、継続適用を要件に、購入時の損金とすることが認められています。

法人税法基本通達2-2-15には次のように規定されています。
「消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。」
 「(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。」

 いかなる会社も、決算時に在庫管理は悩ましい問題の一つでしょう。ご質問のケースについても、1回でも用いておけば未使用在庫にはならなかったと思われます。しかし、決算直前で購入した資材やタイヤ等は、用いることができないまま決算を迎えてしまった可能性が高いといえます。適正な納税予測・予算管理のため、普段から現場監督者に在庫管理を徹底させることが重要です。

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