当社は建設業を営む法人で、順調な受注工事により高い業績を誇ります。当社においては、営業車両を自社で所有し、機械等はレンタルか外注に頼る状態が続いていました。しかし、今期の実績を踏まえて、工事に用いる機械等を自社で購入することが決まりました。経費管理については、営業車両に対する燃料費や、自社所有の機械等に対する燃料費・修繕維持費は、業者よりまとめて請求が行われますので、基準を特に定めることなく状況によって一般管理費や工事原価に計上していますが、問題はありませんか?

Q.
 当社は建設業を営む法人で、順調な受注工事により高い業績を誇ります。当社においては、営業車両を自社で所有し、機械等はレンタルか外注に頼る状態が続いていました。しかし、今期の実績を踏まえて、工事に用いる機械等を自社で購入することが決まりました。経費管理については、営業車両に対する燃料費や、自社所有の機械等に対する燃料費・修繕維持費は、業者よりまとめて請求が行われますので、基準を特に定めることなく状況によって一般管理費や工事原価に計上していますが、問題はありませんか?

A.
 完成工事原価については、一般に公正妥当と認められる会計処理により算出されなければなりません。したがって、工事現場で用いた機械等に係る経理が工事原価に当たるか否かの基準を明確化することが重要です。
 ご質問のケースでは、基準基準が不明確なままで機械等の経費が各工事現場によって一般管理費や工事原価で経費処理されたことに問題があります。

 工事現場で用いていることが分かっているにもかかわらず、工事現場によって一般管理費や工事原価で経理処理をするのではなく、区分の明確化を行って経理処理することを検討しなければなりません。
 工事原価に当たる支出を恣意的に一般管理費で処理していたのであれば、未成工事支出金の金額に影響します。この場合、特に問題となることから、留意する必要があります。
 工事現場で用いた自社所有の機械等に係る燃料費・修繕維持管理費につき、工事原価に当たることを明確化し、各工事現場に適正に配賦しなければなりません。

 受注した工事を完成させるため直接又は間接にかかった費用は、工事原価に計上しなければならず、次の四つの要素に分けることができます。また、工事を完成するためにかかった工事原価以外の費用は、販売費及び一般管理費に計上する必要があり、販売や管理にかかった費用等がこれに当たります。
材料費:工事に直接必要であった素材、半製品、製品及び貯蔵品等の取得に係る費用で、購入対価の他に保険料や引取運賃といった諸掛が存在するのであれば、その金額を含む金額
 労務費:工事に従事した直接雇用の従業員に対する賃金、給与手当といった人件費
 外注費:工種・工程別といった工事につき、素材、半製品、製品等を作業とともに提供し、これを完成することを約する契約を根拠に払った費用
 経費:完成工事につき発生した又は負担すべき材料費、労務費及び外注費以外の動力用水光熱費、機械等経費、設計費、租税公課、地代家賃、労務管理費、保険料、事務用品、従業員給料手当、法定福利費といった費用

 ご質問のケースでは、建設現場において用いている機械等に係る燃料費や修繕維持管理費は、上記「経費」の「完成工事につき発生した機械等経費」に当たりますので、工事原価の経費に当たります。
 そして、建設業における原価計算に関しては、種類が異なる製品を個別的に生産する生産形態に適用する「個別原価計算」が採られます。したがって、その機械等を2カ所以上の建設現場において用いているのであれば、合理的な配賦基準に沿ってその機械等に係る燃料費・修繕維持管理費を各工事原価に配賦しなければなりません。

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