アパート建築や建売住宅の販売をしています

Q.
 当社は建設業を営んでおり、アパート建築や建売住宅の販売をしています。直近1年間に建物等を建築していただいたお客様を、毎年、当社従業員との慰安旅行に招待しています。経理については必要経費と判断し、その費用全額を「旅行交通費」として処理していますが、何か問題はありますか?

A.
 お客様だけではなく従業員との合同の慰安旅行ということですが、お客様に係る費用は接待目的での支出ですので交際費とされます。交際費は、その会社の資本金額に応じて、その支出金額の全部か一部が費用(損金)とは認められません。
 また、従業員の慰安旅行でも、全従業員の5割以上の参加であるというような一定の条件に該当しなければ、福利厚生費には含まれず、参加者への現物給与として源泉徴収所得税が課されることとなります。

 ご質問のケースにおいては、お客様に係る費用は、その額を合理的に按分して接待目的のための交際費等として計上する必要があります。そして、従業員に係る費用は、全社員の5割以上の参加があり、かつ、4泊5日以内といった一定の条件に該当すれば、福利厚生費として損金算入することが可能です。

 交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものを、交際費等と呼びます。ただし、ただし、値引き及び割戻し、寄附金、広告宣伝費、福利厚生費などは除外されます。

 交際費は、事業遂行に当たって必要であることから、その費用性は認められているものの、無制限にその支出を認めると、資本力を有する大きな法人に有利となります。したがって、法人税法上、一定の制限(損金不算入)が存在します。

 従業員に係る慰安旅行費については、福利厚生費として費用計上(損金算入)が可能となるためには、まず次に掲げる条件に該当しなければなりません。
○旅行の参加人数が全体の5割以上であること(事業所ごとに慰安旅行を実施する場合、その事業所ごとに人数の判定を行う。)
○旅行期間(現地での宿泊数)が4泊5日以内であること
○社会通念上、一般に実施されている範囲内で、法人が負担する金額が10万円程度であること
 これらの条件に該当しなければ、その参加者への現物給与として源泉徴収所得税が課されることとなります。
 その者がその法人の役員であるならば、役員賞与として損金不算入とされます。

 お客様と従業員の合同の慰安旅行を実施する場合、その費用の額について、お客様に係る部分の額と従業員に係る部分の額に合理的に按分をして、上記の条件に該当するよう日程を組み、本来の福利厚生の目的を果たすことが重要となります。

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