当社は建設業を営む法人ですが、設立時以来親会社から派遣されている従業員につき、当社の役員としての給与負担分を出向負担金として親会社に対して支払いました。その出向負担金は、毎月の給与分50万円、年2回の賞与各120万円です。株主総会等の機関における採決のないまま、出向負担金の支払いを行い、同額を損金経理しました。給与負担金の額は、出向先の法人における使用人に対する給与として損金の額に算入されるのが原則であるという通達の定めを基に、損金経理したのですが、何か問題があるでしょうか?

Q.
 当社は建設業を営む法人ですが、設立時以来親会社から派遣されている従業員につき、当社の役員としての給与負担分を出向負担金として親会社に対して支払いました。その出向負担金は、毎月の給与分50万円、年2回の賞与各120万円です。
 株主総会等の機関における採決のないまま、出向負担金の支払いを行い、同額を損金経理しました。給与負担金の額は、出向先の法人における使用人に対する給与として損金の額に算入されるのが原則であるという通達の定めを基に、損金経理したのですが、何か問題があるでしょうか?

A.
 給与負担金の額は、原則として、出向先の法人における使用人に対する給与として損金の額に算入されると定められていますが、損金経理要件に該当しない場合があります。
 すなわち、次の二つの条件に該当する必要があります。
○出向契約等で、その出向者に係る出向期間と給与負担金の額が事前に規定されていること
○その役員に係る給与負担金の額につき、その役員に対する給与として出向先の法人の株主総会、社員総会又はこれらに準ずるもの(以下「株主総会等」と呼ぶ)の決議がなされていること
 さらに、賞与分につき事前確定届出給与の規定の適用を受けるための手続が必要であったものの、それがなされませんでした。
 出向元の親法人における従業員が、出向先の子法人で役員として職務に携わるに当たっては、出向先の法人の株主総会等の承認や社内規定の整備を事前に済ませておかなければなりません。

 出向先の子会社で、使用人という立場である場合は、賞与相当額を出向負担金として支給すれば、全額損金の額に算入されますが、役員待遇である場合は、法人税法第34条(役員給与の損金不算入)の定めによる必要があります。
 この場合には、出向元における親会社の従業員との立場で、支給される賞与に相当する金額の支給を、出向負担金として出向先における子会社が行うに当たっては、上記の二つの条件に該当しない限り、損金不算入とされます。


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