当社で建築した物件ですので、家賃をいくらにするか迷った

Q.
 私は法人の役員で、当社で建設した社宅において家族4人で生活しています。当社で建築した物件ですので、家賃をいくらにするか迷ったものの、一般的な金額として近くのアパートの家賃を参考にして、月額5万円としました。この家賃について、何か問題はあるでしょうか?

A.
 法人が自社物件を社宅として役員に対して貸し付けた場合、適正金額を算出しなければなりません。この「賃貸料相当額」の原則的な計算式は、次のとおりです。
 計算式A:賃貸料相当額(月額)={(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.12+(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.06}×1/12
 ※建物の耐用年数が30年を超えるならば0.12ではなく、0.1を乗じます。また、課税標準額の改訂があれば、改訂後の固定資産税の第一期の納期限の翌月分より改定となります。

 ご質問のケースにおいて、その年度の建物の固定資産税の課税標準額は500万円、その年度の敷地の固定資産税の課税標準額は800万円であることから、賃貸料相当額は次のとおりです。
 賃貸料相当額(月額)={500万円×0.12+800万円×0.06}×1/12=9万円
現在の家賃は5万円ですので、9万円との差額4万円(月額)が経済的利益として給与所得となり、課税されることになります。

なお、役員に貸与している社宅が小規模住宅に当てはまるならば、賃貸料相当額は次のとおりです。
 計算式B:賃貸料相当額(月額)=(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.002+12円×(その建物の総床面積(㎡)/3.3(㎡))+(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.0022
 小規模住宅というのは、建物の耐用年数が30年以下の場合には床面積が132㎡以下である住宅、建物の耐用年数が30年を超える場合には床面積が99㎡以下である住宅のことです。

 ちなみに、自社物件ではなく、他から借り受けた場合については、法人が支払う賃貸料の5割相当額と上記計算式Aによって算出した賃貸料相当額のうち、多額の金額が、その社宅の賃貸料相当額とされます。

 また、社宅を役員ではなく使用人に貸与する場合には、計算式Bによって賃貸料相当額を算出します。
 使用人から受領している家賃が賃貸料相当額より少なければ、受領している家賃と賃貸料相当額との差額が給与として課税されます。ただし、その家賃が賃貸料相当額の5割以上であれば、差額への課税は行われないことになっています。

 一般の従業員に対する経済的利益の供与に比べて、役員に対する経済的利益の供与は一般的に厳しく捉えられます。その社宅がいわゆる豪華社宅に当てはまるかどうかについても判定しなければなりません。判定は、床面積が240㎡を超えるもののうち各種要素を総合勘案して行います。豪華社宅に当てはまりそうであれば、税理士にあらかじめ相談するといいでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る