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Ⅰ(98~99)

Y・E氏

例会へ参加し、人の話を聞き、反省という作業をしつつ、自分の心の問題を明らかにしていかなければならない。
 私が酒をおぼえたのは、高校を卒業してさる運送会社に入ってからのことである。社会人となったからには当然飲むべきものと思っていた。それが大人というものであるとも、思っていた。会吐の上司や先輩も「洒も飲めんようでは出世せんぞ」といって、よく飲みに連れていってくれた。酔って嘔吐しても、二日酔いで苦しくとも、そうしたことを乗り越えてしだいに強くなっていくものと思い、懲りずに飲んだ。最初からブラックアウトになるまで飲まないと気がすまなかった。
 飲むたびに正体をなくして帰る私に、両親は呆れ、ずいぶんと責められたものである。特に母は心配し、運送会社を辞めるようにといった。将来の展望が開けないこともあり、やめて地元(F市)の市役所に転じた。この市役所には約1年いたが、どうせ公務員なら国のほうが、という思いもあり、現在の国の役所に勤めて36年になる。この間、どこでも酒の機会があればブラックアウトになっていた。それでも最初の頃は金もなく、また両親の攻撃も厳しいので、いわゆる機会飲酒であった。
 26歳のとき、埼玉県のI市に転勤を命ぜられた。(命ぜられたとはいえ、半分は自分の希望でもあった)。口やかましい両親の元を離れ、自由に酒が飲める状態になることがなんとも嬉しかった。I市の郊外、武蔵野の面影を残すそのあたりは、商店も飲み屋もない田舎だった。5時に勤務を終わると宿直者を慰めると称し、麻雀の卓を囲む。食事もせず、ウィスキ一を側らにおいて深夜まで飲む・打つという日々が続いた。この頃から日曜目などに酒が切れると手が振え、なんともいえない恐怖心に襲われるようになっていた。アル中の初期である。それ以後はこのような禁断症状が起こることを避けるため、24時間アルコールを体内から切らさないようにした。
 その後の約20年間、27歳から2年間の短い結婚生活、3回の地方転勤などさまざまな生活の変化があったものの、酒への執着は断ちがたく、47歳になって船橋北病院に入院するまでの間に、内科病院への入退院を7回繰り返した。この間の人生は、酒にとらわれ暗いトンネルの中を歩むようなものであったと思う。小さなけがを何度もし、サラ金からの借金、人間関係上のトラブル等々、ブラックアウトのあとの結果として、公開の臍を噛んだことは数え切れない。その暗い飲酒時代のことは、例会で体験談としてポツポツと語ってきたつもりである(ブラックアウトの時のことは語れないが)。
 このしまりのない酒飲みが、酒をやめることに何となくなってきたのは、船橋北病院に入ってからのことである。この病院から断酒会への道をつけられてから、今10年を迎えた。飲酒時代の体験談よりも、この断酒会に入ってからの足跡をたどる時期が来たように思う。
 入院中の半強制的な断酒例会出席、そして、退院後は、断酒会に入らざるを得ない心理状態にもっていかれたように感ずる。だから決然たる断酒の意志などなかったのである。仕方なしに断酒例会に通った。それでも何とか3年くらいは無事に過ごした。4年目に入って母か目の病で入院、久しぶりに1人暮らしとなった。ここで再飲酒・再入院という事態になった。再発である。飲まずにいられないような理由は特段になかった。回復が不十分だったというべきか。「回復すれども完治せず」という言葉を知ったのは入院中か、断酒会に入ってからか定かでないが、自分自身をもってそのことを体験した。その後はなぜかこのようなことかない。「何故か」と言ったが、それはやはり例会に通っていたせい
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「断酒生活」のすすめ

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