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Ⅳ(01~02)

M・O氏

償いは許してもらうためにするのではなく、迷惑をかけた人たちに尽くすことによって自分の心が癒されるのだ。
 断酒会に入ってちうすぐ1年になろうとしています。この1年間は体、心そして、周囲の状況がめまぐるしく変わり、まさに激動の1年でした。梅雨が明けた頃から少し落ち着きましたが、まだ安定したと言える状況ではありません。やっと将来のことを考える余裕が出てきた今、どん底から必死になって這って出た1年間を振り返って、気持の整理をしておこうと思います。
 失踪から戻ってきたのが9月8日。すぐ、保健所に病院を紹介してもらった。うつ病とアルコール依存症で通院加療となった。病院の勧めに従って断酒会を見学し、23日に入会した。一方、会社に残れるとは思っていなかったが、始末書と診断書を提出し、一繍の望みを託して通院と例会出席の生活をはじめた。ここまで、迷う余地はなく1本道だった。失踪から戻ってくる時に、人間をやめることはできないとわかって酒をやめることに決めたのだから。
 幸い周囲の皆様方のお力のお陰で、懲戒処分はあったものの解雇は免れた。ただひたすら治療に専念した。体力作りのため自転車を買った。病気の時に人生の重大事を決めてはいけないというので、将来のことは考えないようにした。
 11月7日から出勤を再開した。社会復帰のためには早い方が良いと考えて先生にお願いしたのだが、周囲は「治ったから出てきた」と思っただろう。今考えると早過ぎたのかも知れない。職場が変わり仕事もリハビリを配慮してくれたものだったので、嬉しかった。真冬の戸外での掃除や緑化作業など、あかぎれにハンドクリームを塗り鼻水を垂らしながらも苦にならなかった。償いをするのに許しを期待してはいけないと気がついた。償いは許してもらうためにするのではなく、迷惑をかけた人たちに尽くすことによって自分の心が癒される。自分のために、そして再び失敗しないために一生償いを続けるのだ。
 「うつの治療には、過去へのこだわりを捨て、将来への不安を考えないようにすべきだといわれている。酒害体験を掘り起こすことと相反するのではないか」例会でバカなことを言った。忘れる以前に覚えていない「過去」がたくさんあるではないか。酒害をできるだけ掘り起こして反省材料とし、今日1日の断酒に役立てばよい。
 断酒3か月で迎えるはじめての正月は不安だった。「1人にならない、暇にならない、例会出席」で問題なく通過することができた。少し自信がついた。年が明けてから気の持ち様が変わった。ただ「ごめんなさい、私が悪かった」といって小さくなっているだけではいけない。家族もそれを望んでいない。「強くて頼りになるお父さん」にならなくてはいけないと思うようになった。家族の希望どおり白髪を染めて、1月末の誕生日は若返りの日となった。みんな喜んでくれて嬉しかった。
 例会は語る薬である。例会でしか話すことのできない体験談の内容は、みな驚くほどよく似ている。アルコールという薬物が原因であったことの証だろうか。例会で語ることによって気持が楽になり、飲酒欲求が消えることは確かである。
 2月に入って突然予期せぬ事態が起こった。上司から「辞表を書いてください」と言われた、退職願の用紙を渡された。来年度予算を策定中なのでできるだけ早く、元々会社としては再就職先が見つかるまで猶予期間を与えていただけで、求職活動をしていなかったのは怠慢だという。ようやく意欲が出てきて、これから仕事で恩返しをしようと思って
・・・


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「断酒生活」のすすめ

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