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08断酒会とともに

断酒再出発

歌集『ポケット・ベル』を出版
 アルコール依存症の特徴の一つである連続飲酒発作中での記憶喪失(ブラック・アウト)は、スリップにおいて特に著しいようである。私の場合、スリップの期間は一週間程度と思っていたが、実はその倍以上の十六日間であった。しかも妻のメモによると、その間の酒量は以前に比べてさほど多くはなかったそうである。これはせりがや病院に入院後約七ヵ月経っており、アルコールヘの抵抗力が低下していたためと思われる。それだけにスリップ中には事故を起こしやすいと言うことができる。私のスリップは一歩誤れば、そのまま深みに陥る危険があったと思うが、比較的短期間で済んだのは、妻をはじめ、せりがや病院の斎藤、水沢両先生、それに今村君や断酒会仲間の速やかな対応とそのチームワークのお陰であった。会員からは問い合わせと激励の電話が相次いだそうである。その人達の誠意と思いやりが、私の意識の底に潜んでいたスリップに対する罪悪感を呼び起こしてくれたと言えよう。
 最初の、そして願わくは最後であって欲しいスリップから回復して、私は再び断酒への道を歩きはじめた。

 五月十五日、私の処女歌集が出版された。太田青丘先生の御指導により題名を『ポケット・ベル』と名づけた。集中の一連の歌より採ったのである。
  ピーピーとポケットベルが鳴りだせば酒場の視線皆われに向く
  ポケットペル腰に吊して夜の酒場鈴つけられし猫の如くに
  医師汝はいづこにありと糾すごとポケットべルは深更を響く
 歌集は幸に好評であった。多くの人から好意ある感想を賜った。真っ先に本を差上げた横浜市立大学学長の高井修道先生(泌尿器科学教授)からは、若い医師達に読ませたいとの、真情溢れるお便りを頂戴した。身に余る光栄であった。
 七月十ー日、市内のレストラン”かおり”において出版祝賀会が催された。医師会短歌部のリーダーである助川信彦先生をはじめ、短歌部各位並びに学友諸君のお世話であった。来賓として横浜市医師会長の榊田桂先生と「潮路」の太田青丘先生に来ていただいた。榊田先生はかねてから私のアルコール依存症を心配されていた。私の立ち直りを心から喜ばれ、「学校保健は西郊に教わったのだ。」との過分な祝辞をいただいた。続いて青丘先生の言葉、「今日は西郊君だけでなく、医専当時の諸君に会えて嬉しい。」会場にはつい一月前にクラス会をやったばかりにもかかわらず、クラスメートが実に十名以上集まってくれていたのである。参加者みなさんの友情の
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「断酒生活」のすすめ

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