永年勤続表彰

Q.
 当社では勤続20年に至った従業員に対して長年の労をねぎらう目的で、永年勤続表彰として2泊3日の旅行をしてもらうために、その費用相当額(10万円程度)を、旅行会社ではなく直接本人に支払いました。10万円については、福利厚生費として経理処理することとして問題はありませんか?

A.
 給与所得者の業務遂行のための旅費のうち通常必要であると認められるものについては、非課税とされています。ご質問のケースにおいて、旅行が会社の業務を行うために直接必要であるならば、その費用が給与として課税されることはありません。しかしながら、直接必要でないならば、旅行の費用が全額給与として課税されることとなります。旅行を実施したか否かを確認していない限り、全額給与として課税されます。

 従業員に対して現金支給を行った場合には全額が課税対象とされますので、旅行会社に直接支払うことが重要です。
 旅行代金を支給したら、支給を受けた従業員に、慰安旅行実施後に、旅行日、旅行先、実施者の氏名、旅行会社への支払領収書を添付した上で、報告書を提出してもらう必要があります。そして、支給後1年が経過しても旅行を実施していない場合には旅行代金の全額を返金する約定にすることも必要です。
 旅行代金の使用状況の管理を行っているのであれば、給与課税しなくても構わないことになっています。

 永年勤続者に対する表彰は、広く普及しています。
 永年勤続者が受ける記念品といった経済的利益は、その額がその勤続期間に鑑み、社会通念上相当であると認められるならば課税しないこととされています。
 ただし、経済的利益の額が社会通念上相当であるか否かは、具体的に公表されていないことから、判断が容易ではなく、実務においても問題となることが少なくありません。次に掲げる条件に該当するならば、給与課税しなくて構わないことになっています。
○慰安旅行の範囲が、支給した旅行代金からみて社会通念上相当なもの(海外旅行を含む)と認められる。
○慰安旅行が、旅行費用の支給後1年以内に実施されている。
○慰安旅行代金の支給を受けた従業員が旅行を実施した場合、所定の報告書に、旅行日、旅行先、実施者の氏名、旅行会社への支払領収書を添付した報告書を提出させる。
○慰安旅行代金の支給を受けた従業員が支給後1年以内に全部又は一部を使用しなかった場合、未使用金額を返金させる。
 また、永年勤続者表彰者の記念品等については、一定の条件のもとに課税しなくても構わないことになっています。具体的には、現金支給した場合や各人が自由に選択できる場合、記念品等が勤続年数等に鑑み社会通念上相当でない場合には、課税されます。一方、旅行・観劇等への招待や記念品を支給した場合、その表彰がおおよそ10年以上の勤続対象者であり、2回以上表彰を受ける者についてはおおよそ5年以上の間隔があり、記念品等が勤続年数等に鑑み社会一般的にみて相当な金額以内である場合には、非課税となります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る