経営事項審査の評点を上げるため、建設機械を保有して使用してきたものの……………

Q.
 当社においては、経理に関する業務は全て経理担当者が行っています。決算において経理担当者が管理している固定資産台帳を基に決算処理をし、貸借対照表には台帳に記されている期末残高が計上されていました。経営事項審査においても、同額を固定資産の額として申請していました。
 しかし、実際は経理担当者が固定資産台帳を整備しておらず、除却又は売却によって会社にはない固定資産が台帳に計上されたままでした。当社は経営事項審査の評点を上げるため、建設機械を保有して使用してきたものの、当期になって故障したことから同様の機械を改めて購入しました。経営事項審査の評点が下がってしまいましたが、評点を上げるためにはどうすればいいでしょうか?

A.
 ご質問のケースにおいては、固定資産台帳を整備していなかったために会社には既にない固定資産が計上されてしまっており、また、その他審査項目(社会性等)評点(W)の建設機械保有状況点数を上げるべくリース契約でも対象となる建設機械をあまり検討することなく購入してしまいました。これらのことにより、固定資産の比率が上がり、自己資本対固定資産比率(Y5)が下がってしまいました。
 Y5=自己資本/固定資産×100
 固定資産を減らせば、あるいは自己資本を増やせば、評点が上がります。
また、建設機械保有状況点数は、評価対象となる建設機械を自ら所有している場合、又は、リース契約(審査基準日より1年7カ月以上の使用期間が定められたもの)を結んでいる場合に、建設機械1台につき1点(最高15点)が加算されます。
 評価対象となる建設機械は、次のとおりです。
○ショベル系掘削機(ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーン 又はパイルドライバーのアタッチメントを有するもの)
○ブルドーザー(自重が3t以上のもの)
○トラクターショベル(バケット容量が0.4㎥以上のもの)
○モーターグレーダー(自重5t以上のもの)
○大型ダンプ車(車両総重量8t以上又は最大積載量5t以上のもので、経営する事業の種類として建設業を届け出ていることや表示番号の指定を受けていることが必要)
○移動式クレーン(つり上げ荷重3t以上のもの)

 固定資産台帳を基に減価償却費を毎月算出するのみでは十分ではなく、適正な貸借対照表の残高を把握するために、固定資産の現況を把握して固定資産台帳を整備する必要があります。そして、長い間稼動していない機械や車両については、売却や処分を検討しなければなりません。
 高額となりがちな固定資産の取得に当たっては、自社の財務状況を考慮して借入金が増えて経営状況分析評点(Y)に影響することがないよう、購入するか、又は、リース契約を結んで経営事項審査(以下「経審」と呼ぶ)の評点を上げるか、検討を行うことが重要です。

 減価償却資産の見直し・処分をして貸借対照表上の固定資産を減らせば、Y5が上がります。
 平成22年に国土交通省によって経審の審査基準が改正されました。その改正において、地域防災に対する備えという観点により災害時に用いられる建設機械の保有状況が評価され、経審の評価対象となる建設機械の保有が奨励されています。しかし、固定資産である建設機械を購入すると一般的に固定資産比率が上がることから経審の評点は下がってしまいます。建設機械の中には、保有又はリース契約締結によってWの建設機械保有状況点数アップとなるものもありますので、検討を重ねることが重要です。

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