先日、B社の工事現場において作業員の不注意が原因で工事材料が落下し、下に止めてあった車両の物損事故が起きました

Q.
 当社(A社)は同業のB社とJV(建設共同企業体)を組み、大型工事を受注して工事をしています。A社が幹事社で構成比70%、B社はサブ社で構成比30%です。A社施工分とB社施工分に分けて工事をしていました。
 先日、B社の工事現場において作業員の不注意が原因で工事材料が落下し、下に止めてあった車両の物損事故が起きました。事故の発生場所がB社社員によるB社施工現場であったことから、賠償をはじめとする事故対応についてはB社に一任しましたが、さきほど被害者より当社に対して損害賠償請求がありました。当社にも賠償責任はあるのでしょうか?

A.
 JVは共同して作業を行うためのもので、その作業より発生した事故である場合、第一義的にはJVが責任を負いますが、「民法上の組合」であるJVは法人格を有しません。したがって、ご質問のケースにおいて、事実上はJVを構成するA社及びB社が連帯して責任を負います。事故の被害者は、A社が工事の幹事社であることから、A社に対して賠償請求を行ったものと考えられます。B社との打ち合わせにおいてB社が事故の対応をすると決定した場合にも、被害者には無関係なことですので、JVの責任であり、A社は構成員ですのでA社にも賠償責任はあるといえます。

 事故の発生後に、A社とB社の各責任者が真摯に対応することが重要です。被害者に対する事故の最終責任をA社とB社が共同して負うものの、事故の具体的な対応についてはB社又は損害保険会社が担当することの了承を得なければならなかったと考えられます。
 なお、JVの事故であっても構成員の以後の入札資格などが制限されると思われますので、自社だけでなくパートナーであるB社社員にも事故なく工事を行ってもらう必要があります。

 損害賠償額について被害者とJVが合意した場合、その費用を構成比(A社70%、B社30%)で負担するのが原則です。しかし、事故の原因(B社社員の過失の程度)等を総合勘案し、両当事者の合意、又はB社が全額負担することに合理的な理由があるならば、B社が全額負担した場合にも、その処理は課税当局に認められると考えられます。しかしながら、税務トラブルを回避するという観点からも、A社とB社の間で「損害賠償に関する合意書」といった事故の敬意や負担額の合意を立証できる文書を取り交わし、保管しておくべきでしょう。

 なお、JVの工事に関しては、施工方式を含めていろいろな方法が存在します。経理処理を適正に行うだけでなく、体外的な法務、事故に対応する工事保険や労災保険に不備がないよう留意する必要があります。

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