工事が完成し、契約に沿って5%の課税売上として経理処理しましたが、問題はありませんか?

Q.
 請負工事契約を平成26年3月に結びましたが、同年4月以前の契約ですので請負金額に旧税率である5%を加算した金額で契約を結びました。そして、同年6月に工事が完成し、契約に沿って5%の課税売上として経理処理しましたが、問題はありませんか?

A.
 平成26年4月1日が、消費税が8%とされる改正消費税率の施行日です。平成25年10月1日が指定日とされ、その前日までに結んだ工事請負契約を基に平成26年4月以降に引渡しを行っても旧税率である5%が適用されることになっています。
 ご質問のケースについては、指定日以降に結ばれた契約に基づいて平成26年4月以降に引渡しが行われていますので、新税率である8%が適用されます。契約の際に改正消費税の説明を行い、8%での契約を結ばなければなりませんでした。
 なお、契約日にかかわらず、平成26年3月31日までに引渡しが行われたのであれば、5%が適用されます。

 指定日は改正消費税率の施行日の半年前の平成25年10月1日とされています。指定日の前日までに請負契約が結ばれている場合には、平成26年4月1日以降の引渡しであっても、旧税率5%が適用されます。
 形あるものを購入する場合は売買契約となり、消費税率の経過措置は適用されないことに留意が必要です。経過措置が適用されるためには、工事請負契約でなければなりませんが、請負契約というのは工事の内容について相手方の注文が付されているもので、注文に応じて建築される建物等が当てはまります。
 請負代金が指定日以降に増額された場合には、増額部分につき8%が適用されます。この場合、指定日より前の契約金額は5%で、指定日以降の増額部分のみが8%とされ、請負金額全額に5%を適用することは認められていません。なお、指定日より前の契約金額から減額された場合には、5%の適用が可能です。
 経過措置の適用を受ける工事をした場合には、経過措置適用の工事であることを書面によって注文者に通知しなければなりません。その書面に記載する内容は、次のとおりです。
○通知書を作成する事業者の氏名・名称・住所・電話番号
○注文者の氏名・名称
○請負契約の内容
○請負金額
 なお、この通知書は一般的に作成されている請求書に記すことでも構いません。口約束では立証が難しいことから、書面で作成することが重要となります。

 建設工事につき部分完成基準による資産の譲渡等の時期の特例によって、工事全てが完成しなくても、その期間内に引き渡した一部の建設工事に対応する工事代金については、引き渡した日の消費税率が適用されます。
 部分完成基準適用の具体例として、一つの建設工事等であっても、その一部分が完成し、かつその完成した部分を引き渡したその割合に応じて工事代金を収入とする特約又は慣習が存在する場合が挙げられます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る