未成工事支出金についても8%で仕入税額控除を計算して問題はないでしょうか?

当社は3月決算法人で、建設業を営んでいます。平成26年4月に完成した建設工事につき、目的物の完成前に行ったその建設工事のための課税仕入れの額を未成工事支出金として経理処理しています。
 完成したのが平成26年4月であることから、売上高は消費税の新税率である8%を適用しました。仕入税額控除の特例を適用していることから、未成工事支出金についても8%で仕入税額控除を計算して問題はないでしょうか?

A.
 未成工事支出金というのは、建設工事が完成しておらず、引渡しが未了である工事に直接かかった外注費等を管理し、工事完成まで資産として繰り延べるための勘定です。
 未成工事支出金として経理処理を行っていても、その課税仕入れをした日の属する事業年度において仕入税額控除を行うのが原則です。
 仕入税額控除の特例を適用しているのであれば、平成26年4月を仕入税額控除の時期として構わないものの、同年3月までに目的物の引渡し又は役務提供を受けている外注費等の消費税は、旧税率である5%で仕入額控除を計算する必要があります。

 課税仕入れを行った日が消費税の仕入税額控除の時期となるのが原則です。課税仕入れを行った日は、原材料費については購入した日、外注費は役務が完了した日ということになります。課税仕入れを行った日を個別に管理しておかなければなりません。建設工事に係る完成前に行った課税仕入れの金額について、収益費用の対応の観点より未成工事支出金として経理処理しますが、その場合にも、その課税仕入れの時期は、原材料費については購入した日、外注費は役務が完了した日となるのが原則です。
 未成工事支出金は仮勘定で、完成時に一括して完成工事原価に振り替えます。未成工事支出金として経理処理した課税仕入れについて、仕入税額控除の特例は、継続適用を条件に、建設工事等に係る目的物が完成して相手方に引き渡した日に課税仕入れがあったものとして扱うことを認めています。
 しかし、この特例は仕入税額控除の時期に関する特例であって、消費税率に関する特例ではありません。したがって、原材料費については購入した日、外注費は役務が完了した日が、平成26年3月までは5%、同年4月以降は8%ということになります。

 建設業では、原価率に大きな影響を及ぼす未成工事支出金は重要項目に挙げられます。赤字工事となることを避けるためには、原価管理や消費税の管理が重要です。

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