地主さんとの土地の賃貸契約は3年となっていますので、3年で償却できると考えて問題はありませんか?

Q.
 当社は住宅建築業を営んでいますが、販売促進の目的でモデルルームを建設しました。このモデルハウスの外見は一般の住宅と同じですが、給排水設備は未工事であり、工法も主要部分を除き簡易な作りです。3年後に取り壊す予定であることから、地主さんとの土地の賃貸契約は3年となっていますので、3年で償却できると考えて問題はありませんか?

A.
 住宅関連の事業者にとっては、モデルハウスは販売又は広告宣伝のツールとして捉えられているのではないでしょうか。ご質問のケースでは、土地の契約を3年間でしていることもあり、3年で償却可能であると考えがちです。しかしながら、法人税法においては固定資産の取得に当たり、法定耐用年数は別表第1(「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表一)の「建物」の「簡易建物」の「仮設のもの」7年が適用されます。すなわち、このモデルハウスは仮設の建物に当たるために、耐用年数は7年とされます。
 土地の契約期間が3年とされているものの、2年で取り壊しをしたり、契約延長をしたりする可能性もあります。しかし、土地の契約期間や取り壊し予定によって耐用年数を決めることはできません。地主との契約に沿って3年目で取り壊されたら、このモデルハウスの残存価額は固定資産廃棄損として損金算入されることとなります。
 このように耐用年数は7年とされていますが、所轄国税局長の承認を受けることで、耐用年数を短縮することも認められています。その事由として、物理的・客観的なもので「材質又は制作方法が通常のものと異なる」「地盤隆起又は沈下」「陳腐化」「著しく腐食」「著しく損耗」「通常の構造と著しく異なる」場合が当てはまります。

 減価償却資産の取得をしたら、耐用年数表によって耐用年数を確認しなければなりません。取得をした資産が「建物」「建物附属設備」「構築物」などのうち、どの項目に当てはまるかについても、確認する必要があります。そして、ご質問のケースのようなモデルハウスには、建物のほか、門柱や庭、へい、生垣なども造られている可能性がありますので、資産別に分類して耐用年数を確認します。ただし、それまでの実績により、モデルハウスの取り壊しとともに取り壊すことが分かるのであれば、モデルハウスと同一の耐用年数を用いることが認められています。

 ご質問のケースにおいては、土地の契約期間での償却が可能であると判断していますが、減価償却資産の取得については法定耐用年数を用いることとされていることから、別表を確認しなければなりません。そして、いかなる項目に当てはまるのかについても、確認する必要があります。
 また、マンションの一室をモデルルームとした場合には、その部屋の備品として「カーテン」「テレビ」「応接セット」「家具」といったものが考えられますが、それらの備品の取扱いについては次のとおりとされています。
○展示終了後にモデルルームと共に販売されるもの…棚卸資産
○次回のマンション分譲時に再度用いられるもの…固定資産
○少額の減価償却資産に当てはまるもの…一時償却
○一括償却資産に当てはまるもの…3年間で損金

 少額の減価償却資産というのは、使用可能期間が1年未満のもの又は取得価額が10万円未満のもののことです。なお、平成30年3月31日までは、中小企業者が30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、その減価償却資産の合計額300万円を限度とし、全額損金算入することが認められています。
 また、一括償却資産(取得価額20万円未満の資産)については、事業年度ごとに一括して3年間で均等償却することも可能です。

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