10年くらいの償却期間と考えて問題はないでしょうか?

Q.
 当社は建設業を営んでいます。使用中の事務所が狭く感じられるようになりましたので、近隣の相応な物件に引っ越すことを決めました。現状のまま、価額は800万円でこの物件を取得しました。中古物件であることから使い勝手などを考慮し、移転するまでに改装費用1,500万円を要しました。
 中古遺産の耐用年数については使用可能期間を見積もって、その期間で償却することが認められると聞いていますので、10年くらいの償却期間と考えて問題はないでしょうか?

A.
 法人が中古資産の取得をし、事業の用に供した場合におけるその資産の耐用年数については、原則として、新品の資産の取得をした場合における法定耐用年数を用います。しかし、それでは実情にそぐわないことから、その事業の用に供したとき以降の使用可能期間(残存耐用年数)を見積もって、その期間で償却する、見積法も認められています。この他、その使用可能期間を見積もるのが難しい場合、使用可能期間として一定の方法で算出した年数を用いる、簡便法もあります。
 しかしながら、取得した中古資産について再取得価額(その中古資産と同じ新品のものを取得する場合における価額)の5割を超える資本的支出を行ったのであれば、中古資産の残存耐用年数(見積法や簡便法で算出した使用可能期間)を用いることはできず、新品の取得をしたのと同様の法定耐用年数を用いる必要があります。

 取得済みの中古資産を用いる際、資本的支出の金額があるか否かの判定を行います。その金額がないのであれば、修繕費として処理することができます。一方、資本的支出の金額があるならば、その金額がその中古資産の再取得価額の5割を超えるか否かの判定を行います。
 そして、5割を超えるならば、新品を取得したのと同様の法定耐用年数を用いることになります。一方、5割を超えないならば、支出した資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の5割を超える場合は見積法で算出した使用可能期間を用いることになり、支出した資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の5割を超える場合は見積法又は簡便法で算出した使用可能期間を用いることになります。
 ご質問のケースにおいては、取得した中古資産につき再取得価額は2,500万円となり、5割を超える1,500万円の資本的支出があることから、新品の取得をしたのと同様の法定耐用年数(41年)を用いる必要があります。

 ちなみに、取得をした中古資産につき見積法や簡便法を用いることが可能である場合における計算方法は、次のように定められています。

1.見積法
 法人が中古資産の取得をした場合において、支出した資本的支出の金額がその資産の再取得金額の5割を超えるときには、使用可能期間を見積もることが可能ですが、法人税法においてその方法が明確に定められているわけではありません。そのため、何らかの方法によって合理的に見積もる必要がありますが、法人が次の算式で算出した年数を、その中古資産の使用可能年数としている場合、これを認めることになっています。
 使用可能期間=A÷(B/C+D/E)
 ※1年未満の端数が存在する場合、これを切り捨てた年数とします。
 A:中古資産の取得価額(資本的支出の額を含む)
 B:中古資産の取得価額(資本的支出の額を含まない)
 C:中古資産につき簡便法で算出した耐用年数
 D:中古資産の資本的支出の額
 E:中古資産の法定耐用年数

2.簡便法
 (1)法的耐用年数の全部を経過した資産
  残存耐用年数=法定耐用年数×0.2
 (2)法定耐用年数の一部を経過した資産
  残存耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る