入院給付金を預り金で処理し、役員に同額30万円の支給を行いました

Q.
 当社は建設業を営む法人ですが、福利厚生の一環で、役員や従業員の病気などに備えて掛捨保険に加入し、損金処理しています。このたび、役員が病気で2週間入院となり、入院給付金が保険会社から30万円入金されました。この入院給付金を預り金で処理し、役員に同額30万円の支給を行いましたが、何か問題はありますか?

A.
 会社で加入する掛捨保険についての損金処理は問題ありませんが、社員が病気や労災で入院等した場合に受領する入院給付金等を会社から支出するのであれば、見舞金規定等により基準を明確に決める必要があります。
 入院給付金の入金後、保険対象者に対して同額を支給しても構わないと考え、収入及び支出金額を預り金にて処理したことに問題があります。
 役員や従業員が病気などになった場合における社内規定(見舞金規定)の作成をし、基準に沿って支給することが、見舞金の支給として認められるポイントです。見舞金規定等が存在しなくても、社会通念上相当であるかどうかで、法人税法上、福利厚生費としての見舞金が損金に算入されるかどうかが判断されます。
 ご質問のケースにおいては、入院給付金を預り金処理せずに益金として計上しなければなりません。そして、役員・従業員に支出した金額は、給与(賞与)・福利厚生費・交際費等のうちいずれの科目に当たるかについて、検討する必要があります。
 見舞金等としての支給額について、社会通念上相当と認められる金額に関する定めは法人税法上、特に存在しませんが、ご質問のケースでは、社内規定がなくても社会通念上相当と認められる金額を超過した金額の支給であり、給与(賞与)に当たり、厳選所得税の対象になると思われます。

 法人が、その役員や使用人の慶弔・禍福時に一定の基準に沿って支給する金品にかかる費用は、福利厚生費として扱われることになっています。
 役員への病気見舞金についても、その金額が社会通念上相当と認められるものである場合には、福利厚生費として損金に算入できると考えられています。ちなみに、国税不服審判所の裁決例で、役員への見舞金につき5万円が相当であるとされたものが存在します。
 なお、会社が保険金を受け取ってそれを益金に算入することと、病気になった役員や従業員への見舞金を支給して損金処理を行うことは、別の取扱いとされています。

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