現場監督の管理下で現場作業終了時の慰労として、飲食費用に用いることを認めていました

Q.
 当社は土木工事業を営む法人ですが、工事の現場によって自販機を設置しています。これまで、各々の現場において発生した自販機の収入や鉄くずの売却収入を、会社の収入とすることなく、現場監督の管理下で現場作業終了時の慰労として、飲食費用に用いることを認めていました。このような収入を会社の収入としなかったことに、問題があるでしょうか?

A.
 自販機収入や廃材等の処分代金を益金として計上し、飲食費等に用いた支出を費用として計上しなければならないかを検討することが必要です。そして、現金の管理方法についても調べなければなりません。
 会社においては、福利厚生に用いる目的としての支出と判断し、現場監督に管理させた収入と支出を計上していなかったことに問題があります。
 ご質問のケースでは、収入を益金として計上しなければなりません。また、支出費用が福利厚生費とされるためには、飲食関連費用の証拠書類の内容につき検討しなければなりません。現場における必要な飲食費等で支払った場合にも、金額や参加人数等次第で給与課税となり源泉徴収の対象となるのであって、福利厚生費とは認められないと思われます。

 建設業か否かにかかわらず、会計においては総額主義による記帳を行う必要があります。ご質問のケースでは、相殺処理がなされていたことにも問題がありますが、会社の管理上、現場に一任されていたことにも問題があるでしょう。

 ご質問のケースにおいては、現場監督に管理を一任せずに、会社として収入と費用に関する証拠書類を明白にし、経理処理を行うことが重要です。現場監督の管理状況を確認後、自販機や鉄くずの収入を益金として計上し、飲食費等に用いた支出を費用として計上しなければなりません。
 支出費用につき、その内容と現金残高の管理状況を検討した上で、福利厚生費に当たるか否かを判断しなければなりません。

 税法において福利厚生費が明確に定義されているわけではありません。しかし、福利厚生費は「会社がその従業員の生活の向上と労働環境の改善のために支出する費用のうち、給与、交際費及び資産の取得価額以外のもので、従業員の福利厚生のため、従業員全員に公平であり社会通念上妥当な金額までの費用」であると、一般的には考えられています。
 福利厚生費が給与や交際費と判定されないよう、「支出の目的、支出の金額、一定の基準、支出対象者」等の明確化が行われることが重要です。

 所得税法においては、福利厚生費としての処理が行われている費用であっても、給与所得とされることもあります。特に、金銭以外のものや権利その他の経済的利益などの現物給与に当たり、源泉徴収の対象とされることがあります。

 非課税とされる現物給与の具体例として、次のものが挙げられます。
○宿直・日直料(1回3,400円以下)
○残業・宿直・日直の食事代
○深夜勤務者に対する食事代(1回300円以下)
○食事代(食事の価額の5割以上を所得者自身より徴収し、月額3,500円を超過しないこと)
○通勤手当

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