建築費に係る消費税額は控除対象仕入税額の対象外?

Q.
 平成23年は消費税課税事業者選択届出書を提出しましたが、消費税簡易課税制度選択不適用届出書の提出を失念したために、消費税の還付を受けられませんでした。
 それ以降の設備投資等の計画はありませんでしたので、消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出しないままに平成25年となりました。還付を受けることができなかったことによるショックを引きずった状態の中、同年1月に火災で本社兼加工場が全焼してしまいました。すぐに建築に取りかかって稼動を開始しましたが、同年は簡易課税制度による申告ですので、3,000万円(税抜)の建築費に係る消費税額は控除対象仕入税額の対象外ということになるでしょうか?

A.
 災害その他やむを得ない理由のやんだ日から2カ月以内に、その納税地を所轄する税務署長に「災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」を提出して承認を受けることにより、その適用(不適用)を受けようとする課税期間の開始日の前日にその届出書を提出したものとみなされます。すなわち、この承認を受けることで、簡易課税制度を取り止め、原則課税に切り替えることが可能です。
 災害その他やむを得ない理由のやんだ日というのはいつのことなのかについては、複数の解釈が存在しますが、そのような事態が起こったら、その申請書を提出した上で、その後の対策を検討することが重要です。

 簡易課税制度の適用を受けている場合には、仕入れに係る消費税額は控除対象仕入税額の対象外とされています。それ故、ご質問のケースにおける建築費に係る消費税額も、控除対象仕入税額の対象外となります。しかし、災害等で多額の設備投資を要する場合にも簡易課税制度が強制的に適用されるというのでは、大変厳しい状況となってしまうことが予想されますので、災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書の提出を行って承認を受ければ、簡易課税制度から原則課税への切替えが認められているのです。

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