未成工事支出金として計上するという処理で問題はないでしょうか?

Q.
 当社は不動産建築業を営んでいます。以前から木造プレハブの建物を事務所として用いていましたが、このたび、当社で新しく木造プレハブ事務所を建築しています。用いていた木造プレハブの取り壊し費用である200万円と、新しいプレハブ事務所の建設に要した費用(材料費、労務費、建築に係る経費)を原価計算し、決算において他の現場と同じく未成工事支出金として計上するという処理で問題はないでしょうか?

A.
 不動産建築業者が建設する不動産のうち、自社で事業用として用いる不動産は、販売用不動産と取扱いが同じではありません。販売用不動産と自社で用いる不動産ごとに発生した材料費、労務費、建築に係る費用を分けます。そして、自社で用いる不動産については、工事原価ではなく、販売費及び一般管理費の減価償却で処理しなければなりません。

 自社で用いる不動産については、原価処理ではなく、減価償却費として耐用年数に応じて費用計上を行います。一方、販売用不動産については、未成工事支出金として、工事進行基準又は工事完成基準等によって工事完成高に対応させ原価処理を行います。
 そして、以前から用いていた事務所を取り壊した場合において、旧事務所の帳簿価額は、取り壊しを行った日の属する事業年度に除却損として計上することになります。

 自らの建設等に係る減価償却資産の取得価額は、その資産の建設等にかかった原材料費、労務費及び経費の額とその資産を事業の用に供するために直接かかった費用の額を合計した額とされています。

 プレハブ建物の耐用年数については、建物の構造と用途によって判定します。その建物がいかなる構造に属するかについての判定は、その主要柱、耐力壁又ははり等その建物の主要部分によって行います。
 長期にわたって用いる事務所用の木造プレハブの耐用年数については、建物の主要柱、はり等の主要骨格が木造である場合、構造が「木造又は合成樹脂造」、細目が「事務所又は美術館用のもの」ということになり、耐用年数は24年とされています。
 また、工事現場において用いる現場事務所としての木造プレハブ建物については、構造が「木製主要柱が10cm角以下のもので、土居ぶき、杉皮ぶき、ルーフィグぶき又はトタンぶきのもの」である場合には、「簡易建物」ということになり、耐用年数は10年とされています。
 建設工事現場で、その工事期間中に建物として用い、工事現場の移動に伴う移設を常態とする移動性を有する仮設建物等、解体・組立てを繰り返して用いる建物については、構造が「簡易建物」、細目が「掘立造のもの及び仮設のもの」ということになり、耐用年数は7年です。

 法人の所有する建物でまだ用いることのできるものを取り壊し、それに代わる建物を取得した場合、その取り壊しを行った建物の取り壊し直前における帳簿価額は、その取り壊しを行った日の属する事業年度の損金の額に算入することになります。

 建設工事業の経営者で、自らの事務所を建築したりリフォームしたりするという場合があると思われます。ご質問のケースにおいては、自社試用不動産の建て替えが行われていますが、一部をモデルルームとして改装するといったリフォームも、これに当たります。自社使用については特に労務費に関する見落としが見られますので、普段の未成工事支出金計上と同じく、工事日報等の記録に基づいて計上を行わなければなりません。

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