決算期直前ではなく、もう少し前に注文すればよかったでしょうか?

Q.
 当社は土木業を営んでおりますが、資本金は3,000万円、決算期は3月です。今期は工事の受注が順調で、5,000万円を超える経常利益となりそうです。したがって、事業拡大のためにパワーショベル(1,500万円)を購入すると、取得価額の全額(1,500万円)を特別償却として損金に算入することが可能と判断し、販売会社に対して3月下旬にパワーショベルの注文を行いました。
 しかしながら、そのパワーショベルの納入時期が4月に入ってからとなってしまいましたので、今期に特別償却を計上できないという結果となりました。そして、その購入代金を一括で払う契約としてしまいましたので、購入代金を支払うと納税資金が不足してしまいました。決算期直前ではなく、もう少し前に注文すればよかったでしょうか?

A.
 決算期直前で設備投資を行う場合、対象資産を事業の用に供していることが適用要件となりますので、納入前には事業の用に供していないということになり、特別償却(普通償却を含む)が適用されません。
 また、設備投資を行うのであれば、資金繰りに関する検討も必要となります。

 税額控除や特別償却の適用を受け、設備投資の検討をするのであれば、決算期直前ではなく、あらかじめ決算の見込みを予想して計画的に行う必要があります。決算直前における設備投資は、事業年度末までに納入が間に合わず、優遇措置を受けることができないという結果になり、また、設備投資で資金の流出が起こりますので、納税資金不足も考慮に入れることが重要です。

 中小企業投資促進税制は、税額控除と特別償却のどちらかを選択適用可能であり、適用要件については次のとおりです。

1.対象者
 青色申告書を提出する資本金の額又は出資金の額が1億円以下である法人等又は協同組合等(中小企業者等)

2.適用期間
 平成29年3月31日までに取得等

3.対象資産
 機械装置:全て(1台160万円以上)
 器具備品:電子計算機(複数台計120万円以上)、デジタル複合機(1台120万円以上)、試験又は測定機器(複数台計120万円以上)
 工具:測定工具及び検査工具(複数台計120万円以上)
 ソフトウェア:複数機70万円以上
 貨物自動車:車両総重量3.5t以上(従来制度のみ)
 内航船舶:取得価額×75%(従来制度のみ)

4.税額控除
 中小企業者等:従来制度では適用無し、拡充制度では取得価額×7%
 特定中小企業者等:従来制度では基準取得価額×7%、拡充制度では取得価額×10%

5.特別控除
 従来制度では基準取得価額×30%、拡充制度では取得価額まで償却可能

 なお、拡充制度の対象資産は、生産性向上設備投資促進税制の生産性向上設備等に当たるものに限定されます。複数台及び複数機というのは、取得価額が1台当たり30万円以上のものの合計額のことです。また、税額控除は、当期の法人税額の20%を限度とし、特定中小企業等というのは、中小企業者等のうち資本金又は出資金の額が3,000万円以下の法人等のことです。

 この制度の適用対象事業年度については、指定期間内に適用対象資産を取得し又は制作して指定事業の用に供した場合、その指定事業年度の用に供した日を含む事業年度とされています。
 したがって、ご質問のケースにおいては、パワーショベルを取得して事業の用に供した事業年度は翌期ということになりますので、今期にこの制度の適用を受けることが不可能となってしまいました。

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