当社は、建設業を営む法人です。今期の決算に当たって完成していない工事に関する労務費・材料費・外注費といった直接要した未成工事支出金を集計した上で申告を行いましたが、問題はありませんか?

Q.
当社は、建設業を営む法人です。今期の決算に当たって完成していない工事に関する労務費・材料費・外注費といった直接要した未成工事支出金を集計した上で申告を行いましたが、問題はありませんか?

A.
 工事原価は、個別の工事に直接かかった原価と、直接どの工事において発生したかの特定が不可能な間接原価に分かれます。未成工事支出金を算出するに当たり、直接原価の他、間接原価も一定の配賦基準で配賦しなければなりません。
 ご質問のケースでは、未成工事支出金を算出する際に、完成前の工事に直接かかった労務費・材料費・外注費といった直接原価だけを計上し、共通の間接原価の配賦がないことに問題があります。

 ご質問のケースにおいては、間接原価を一定の配賦基準で完成工事原価と未成工事原価に配賦しなければなりません。直接原価と間接原価配賦額の合計額を、決算における未成工事支出金の額とします。

1.間接原価の種類
 間接原価は、工事原価のうちで直接いかなる工事で発生したかの特定が不可能なものですが、例えば次のものが挙げられます。
○各工事に共通して発生する労務費
○直接原価を特定することが不可能な材料・消耗・仮設資材・減価償却費等
○複数の工事の管理を行う現場担当者の人件費
○複数の工事の管理を行う現場事務所の経費

2.配賦基準
 各工事に間接原価を配賦する基準には、次のものがあります。
○価額基準(直接原価を基準とする方法)
○数量基準(直接投入した数量を基準とする方法)
○時間基準(直接作業時間を基準とする方法)
○売上基準(完成工事高を基準とする方法)
 どの基準を採用するかについては、慎重に検討を行い、決定した基準を継続的に採用しなければなりません。

 建設業会計で、共通(間接)原価が工事原価の約1割を占める会社が多く見受けられます。通常より業績が好調であった事業年度、受注が増えた事業年度は、間接費も当然ながら高額になります。間接費を含め原価配分を適切に行って、工事の予実管理をすることにより、適切な経営判断が可能となるよう財務諸表を作成することが重要です。

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